ワークショップのご案内
2024年度 日本不安症学会/日本認知療法・認知行動療法学会 合同開催では、様々なカテゴリーにおいて、必要な基礎知識の普及と情報の共有を目的とした「ワークショップ」を開催いたします。 このプログラムには分野を問わず多くの方々にご参加いただきたくご案内をいたします。
日本認知療法・認知行動療法学会の会員でない方、また日本不安症学会の会員でない方も、学会の参加登録をしていただき、受講料をお支払いいただければ、受講ができます。 定員に達し次第締め切りとさせていただきます。
開催日
受講形式
対象ワークショップ(WS)
7月21日(日)
現地会場で受講 (WS1~WS6会場)
ワークショップ1~10
【会場】
詳細は、日程表 でご確認ください。
【受講料】
ワークショップA(180分セッション):10,000円 ワークショップB(90分セッション):6,000円
【受講資格】
学会・ワークショップの参加登録をし、学会参加費・ワークショップ受講料のお支払いを済ませた方。
※現地で受講される方は、会場入り口で参加証もしくはワークショップ参加証をご提示ください。
【申込方法】
WEB登録:参加登録ページより受講申し込み可能です。
当日申込:現地開催のワークショップ1~10については、空きがある場合、会期中の7月19日(金)~21日(日)に、総合受付(九州大学医学部百年講堂 1F)にて受講のお申込みを受付けます。
受講者には、後日受講証を発行いたします。
ワークショップ1
第3世代のCBT ポジティブ手法の実践
7月21日(日)9:00~12:00 /WS1(九州大学医学部百年講堂 1F 中ホール1)
オーガナイザー
須賀 英道 龍谷大学短期大学部
趣旨・狙い
このワークショップは、さまざまな状況改善を求める手法として、問題解決手法からウェルビーイング手法への転換を意図に実践手法を体験していただくセミナーです。病気を含めた機能低下にある状態が客観的には変わらなくても、ウェルビーイングによる自己評価の有無によって主観的な幸せ感は全く異なったものとなります。この自己評価が環境・対人関係への解釈が肯定的になり、二次的に状態像の変容にもつながっていくのです。ワークショップではサリュートジェネシス手法を主眼に作成したwell-being実践プログラムを実践していただきます。 実践プログラムでは次の6点を日常生活の中でホームワークとして実践しています。1)ウェルビーイング思考の気づき、2)目標を決めて行動し達成感を得る、3)感謝の気持を感じる、4)自分の強みに気づき伸ばす、5)自己肯定し自分の成長に気づく、6)楽しくなれる日常会話のコツ 実践プログラムでは、既に大学生を対象にした学習気分・意欲の向上のほか、休職者に対する就労気分・意欲の向上や、一般人を対象にしたメンタルヘルス向上、高齢者などの一般地域住民への活用など、各種分野での効果を実証してきました。このワークショップでは、ウェルビーイング手法の情報提供ではなく、参加者自身に実践プログラムを具体的に実践していただきながら、抱えた問題解決ではなく同時に体験できている楽しいことや良かったことに気づくよう企画しています。ぜひご参加ください。
ワークショップ2
看護師が実践するMCT
7月21日(日)13:30~15:00 /WS1(九州大学医学部百年講堂 1F 中ホール1)
オーガナイザー
則包 和也 香川県立保健医療大学 教授
白石 裕子 令和健康科学大学看護学部看護学科
演者
則包 和也 香川県立保健医療大学 教授
田上 博喜 宮崎大学医学部看護学科 教授
北野 進 都立松沢病院 看護師長
趣旨・狙い
精神科病院でさらなる地域移行が進められている現状において、心理教育の重要性が高まっています。一般的な心理教育が一方向性の講義形式であることが多いのに対して、メタ認知トレーニング(S. Moritzら. 2007、以下、MCT)は双方向性で、参加者の満足度が高く、実施者の負担が少ないことが特長とされています。このMCTを精神科看護師が実施することによって、地域移行がスムーズに行われ、精神疾患を持つ人達のウェルビーイング(well-being)につながることを目的として、本ワークショップを開催します。
ワークショップ3
集団認知行動療法の基本ワークショップ
7月21日(日)9:00~12:00 /WS2(九州大学医学部百年講堂 1F 中ホール2)
座長
藤澤 大介 慶應義塾大学医学部医療安全管理部/精神神経科
岡田 佳詠 国際医療福祉大学 成田看護学部
演者
藤澤 大介 慶應義塾大学医学部医療安全管理部/精神神経科
中島 美鈴 国立病院機構 肥前精神医療センター
岡田 佳詠 国際医療福祉大学 成田看護学部
田島 美幸 慶應義塾大学 医学部 精神・神経科学教室
田村 法子 慶應義塾大学 医学部 医学教育統轄センター
高橋 章郎 東京都立大学 人間健康科学研究科
趣旨・狙い
令和3-5年度厚生労働科学研究「効果的な集団精神療法の施行と普及および体制構築に資する研究」で開発された集団認知行動療法の基礎研修のダイジェスト版の実践的なワークショップです。 講義では、「治療全体の中での集団認知行動療法の位置づけ」「集団認知行動療法セッションの望ましい形」「集団認知行動療法の治療者の質評価尺度Group Cognitive Therapy Rating Scale (G-CTS)」「集団のプログラムの運営と管理」を扱い、集団認知行動療法の適応と他のプログラムとの併用・使い分け、集団精神療法を進行する上で必要な基本スキル、施設の中でプログラムを運営管理していくための基礎知識などを学びます。 後半はグループ・ロールプレイにより、実践的なスキルをブラッシュアップします。 医師・看護師・心理士・作業療法士の多職種からなる講師陣が、多面的な視点でワークショップを進行します。 参加者は個人認知行動療法の基本的なスキルを身に着けていることが前提です。
進行予定
講義:治療全体の中での集団認知行動療法の位置づけ 15分
講義:集団認知行動療法セッションの望ましい形(ロンドン大学CBGTコアコンピテンシー) 45分
演習:小グループ・ロールプレイ 90分
講義:集団プログラムの運営と管理 15分
Q&A
<参考書籍>
もう一歩上を目指す人のための集団認知行動療法治療者マニュアル(金剛出版) 集団認知行動療法の進め方(培風館) さあ!はじめよう うつ病の集団認知行動療法(医学映像教育センター)
ワークショップ4
短時間で行える、動画を用いた効率型認知行動療法SCBT
7月21日(日)13:30~15:00 /WS2(九州大学医学部百年講堂 1F 中ホール2)
オーガナイザー
久我 弘典 国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター
梅本 育恵 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター
講師
久我 弘典 国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター
梅本 育恵 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター
徳山 明広 一般財団法人信貴山病院ハートランドしぎさん
奥村 貴子 信貴山病院ハートランドしぎさん
三田村康衣 国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター
ファシリテーター
駒沢 あさみ、上原 陽子、山本 洋美、牧野 みゆき、伊藤 愛
国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター
趣旨・狙い
CBT実施の時間がとれない。多職種で連携してCBTを行いたいが、どうするといいだろう・・・そんな疑問にお答えできる効率型認知行動療法SCBTのワークショップです。30分枠でカウンセリングを行う皆様、医療・保健福祉・介護・産業・教育・司法などの場面で CBTの考えを支援に取り入れたい皆様、CBTスキル説明する動画、サイトを活用しませんか。CBT初心者の方も、現場で使いたい、学びたい方、ご参加ください。サイトを使って、今すぐ、活用できます。本ワークショップは厚生労働科学研究費「認知行動療法の技法を用いた効率的な精神療法の施行と普及および体制構築に向けた研究(20GC1801)」で作成したマニュアル・マテリアルを使用します。 参考ウェブサイト:認知行動療法マップ 参考動画:効率型認知行動療法とは 」
ワークショップ5
リカバリーを目指す認知療法(CT-R:Recovery-oriented Cognitive Therapy)
7月21日(日)9:00~12:00 /WS3(九州大学医学部百年講堂 1F 中ホール3)
オーガナイザー
久我 弘典 国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター
三田村 康衣 国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター
演者
Allen R. Miller Beck Institute for Cognitive Behavior Therapy * 通訳 大野 裕大野研究所
久我 弘典 国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター
菊池 安希子 武蔵野大学
徳山 明広 一般財団法人信貴山病院ハートランドしぎさん
耕野 俊樹 岡山精神医療センター
林 竜也 医療法人心葉会 林こころのクリニック
ファシリテーター
梅本 育恵、井上 真里、三田村 康衣、山本 洋美、上原 陽子、伊藤 愛
国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター
趣旨・狙い
本ワークショップは、リカバリーを目指す認知療法(CT-R:Recovery-oriented Cognitive Therapy)に対する理解やスキルを身につけるための基本的なコースです。CT-R は、個人が心の底から望んでいることを同定し、共にポジティブな考え・行動を育むことで、パーソナル・リカバリーの実現をエンパワメントしていく認知療法です。アーロン・ベック先生やポール・グラント先生により20 年をかけて開発され、エビデンスが蓄積されてきました。元々は重篤なメンタルヘルス状態の方を主な対象としておりましたが、昨今では定型の認知行動療法のセッションにもその概念が取り入れられ、様々な疾患・状態の方にCT-Rの概念を用いた支援が提供されています。本ワークショップではCT-R の基本的な考え方や特有の用語について解説し、国内での実践を紹介します。また、グループワーク等を通して概念の理解を深め、CT-R を国内でどのように活用できるか皆様と考えていきたいと思います。
ワークショップ6
幻聴への認知行動的アプローチ
7月21日(日)9:00~12:00 /WS4(九州大学医学部百年講堂 2F 会議室1-2)
オーガナイザー
古村 健 国立病院機構東尾張病院
趣旨・狙い
本ワークショップは、持続性幻聴を有する統合失調症患者に対する認知行動的アプローチのためのスキルアップ研修である。ワークショップ参加者としては、医療・福祉領域で統合失調症当事者と関わる医師・看護師・心理職・作業療法士・精神保健福祉士を想定している。本ワークショップでは、構造化されたCBT実践者となることではなく、日常会話や交流の一部において柔軟に認知行動的アプローチを活用できるようになることを目指している。本ワークショップで扱う項目は以下のようになる。1.主観的なストーリー理解から対話を開く:認知行動ABC分析2.客観的な状態評価から対話を開く:認知的多次元アセスメント3.偏見を取り除く情報提供から対話を開く:ノーマライジング4.対処力への注目から共同作業の対話を開く:対処戦略増強法
<参考文献>1) 古村健・石垣琢麿 2019 第5章 疾患・問題別の専門技法 3統合失調症.In下山晴彦編集 2019 公認心理師技法ガイド―臨床の場で役立つ実践のすべて―.文光堂.2) ポール・チャドウィック、マックス・バーチウッド、ピーター・トローワー著 古村健・石垣琢麿訳 2012 妄想・幻声・パラノイアへの認知行動療法.星和書店.3)石垣琢麿・菊池安希子・松本和紀(編) 2023 統合失調症/精神症の認知行動療法マニュアル (CBT for psychosis: CBTp). 研究開発代表者:藤澤大介. 日本医療研究開発機構(AMED)障害者対策総合研究開発事業(精神障害分野)「各精神障害に共通する認知行動療法のアセスメント、基盤スキル、多職種連携マニュアルの開発」課題番号JP22dk0307096.
ワークショップ7
強迫症の認知行動療法ワークショップ
7月21日(日)9:00~12:00 /WS5(九州大学総合研究棟 1F 105セミナー室)
座長
中川 彰子 千葉大学医学部認知行動生理学
趣旨説明
中川 彰子 千葉大学医学部認知行動生理学
演者
豊見山泰史 九州大学病院精神科
中谷 江利子 九州大学病院精神科
芝田 寿美男 福岡赤十字病院
久能 勝 千葉大学子どものこころの発達教育研究センター
加藤 奈子 千葉大学 子どものこころの発達教育研究センター
趣旨・狙い
強迫症への認知行動療法の有効性は実証され、厚労省のマニュアルが不安症学会のホームページにも掲載されているが、実際に臨床現場で治療を行う際には強迫症の症状の多様性、併存症などへの考慮が必要である。本ワークショップでは、まずはじめに、強迫症という疾患とその認知行動療法について基本的に抑えておくべき事項を概観し、次にマニュアルの使用にあたっての留意点を上記のマニュアルの原著者が解説する。さらに、近年問題となっている自閉スペクトラム症を基盤にもつ強迫症の治療についての症例検討会を行い、実際の症例を通して対象の把握、行動分析、治療方針の立て方、治療の進め方等について学ぶ機会を提供する。最後に参加者からの質問を受け付け、講師陣から回答を提供するとともに全体で検討する。 参加者としては、強迫症の認知行動療法の経験を有すること、上記マニュアルの使用経験あるいは使用を試みたことがあることが望ましい。
ワークショップ8
認知行動療法におけるコミュニケーションの工夫
7月21日(日)13:30~15:00 /WS5(九州大学総合研究棟 1F 105セミナー室)
オーガナイザー
毛利 伊吹 上智大学総合人間科学部心理学科
趣旨・狙い
認知行動療法では、クライエントと協働でセラピーのプロセスを進めることが基本ですが、セラピストが教える側、クライエントが教えられる側となってしまうことがあります。このように役割が固定すると、クライエントが主体的にセラピーに関わることが難しくなりますし、本人が自らのセラピストになることを目指すという、認知行動療法本来の方向にもふさわしくありません。セラピストには、クライエントと双方向の対話を行い、クライエントがセラピーの主体となるように促すという姿勢が求められます。 このワークショップでは、認知行動療法におけるクライエントとのコミュニケーションについて扱い、基本となる考え方や具体的な工夫をいくらか紹介することを目的とします。ここでは、「良いコミュニケーション」とは、治療関係の構築、およびクライエントの主体性や適応モードを育むことにつながり、倫理的にも適切な関りを実現するものと考えています。また、このワークショップは、A. T. Beckの創始した認知療法を基盤とする標準的な認知行動療法の考え方に沿うものであり、新しい理論についても参考にします。ただし、コミュニケーションに関する体系的な理論を提供するものではありません。 対象としては、初学の方、また、クライエントとのコミュニケーションについて考えてみようと思われる方等を想定していますが、そのような方でなくても興味を感じてご参加頂けるのであれば幸いです。
ワークショップ9
マインドフルネス認知療法 ―脱中心化に理論と実践の両面からアプローチする―
7月21日(日)9:00~12:00 /WS6(九州大学総合研究棟 1F 102講義室)
座長
佐渡 充洋 慶應義塾大学保健管理センター
演者
佐渡 充洋 慶應義塾大学保健管理センター
永岡 麻貴 慶應義塾大学医学部精神神経科学教室
山田 成志 慶應義塾大学医学部精神神経科学教室
佐々木洋平 慶應義塾大学医学部精神神経科学教室
後藤 菜穂 慶應義塾大学医学部精神神経科学教室
二宮 朗 慶應義塾大学精神神経科
朴 順禮 慶應義塾大学看護医療学部
趣旨・狙い
本ワークショップでは、MBCTの中核的な要素である脱中心化について、瞑想と認知行動療法のエクササイズとを通してアプローチしていきます。MBCTの中盤以降では、思考や気分を瞑想の観察対象にして、これを「頭の中の現象」として捉える練習をしていきます。そうすることでネガティブな思考に巻き込まれない「脱中心化」の力を育んでいきます。このワークショップでは、こうした思考や気分、不快な体験にどのように関われば、不安や落ち込みなどの不快な体験が軽減されていくか、そのメカニズムについて体験を通して理解できる構成になっています。さらにInquiryについても解説します。Inquiryとは参加者がその体験をセラピストとやりとりするもので、こうしたプロセスを通して参加者は自身の体験からより深い気づきを得ていきます。今回は、Inquiryの要点について説明したあと、実際のやり取りの事例を提示する予定です。
ワークショップ10
不安症を有する様々な背景を持つ症例における薬物療法の注意点
7月21日(日)13:30~15:00 /WS6(九州大学総合研究棟 1F 102講義室)
座長
稲田 健 北里大学医学部精神科学
趣旨説明
稲田 健 北里大学医学部精神科学
演者
村岡 寛之 北里大学医学部精神科学
菊地 紗耶 東北大学病院 精神科
河野 美帆 都城新生病院 児童・思春期精神科
松井健太郎 国立精神・神経医療研究センター
市橋 香代 東京大学医学部
趣旨・狙い
不安症に対する薬物療法はSSRIの有用性が示されています。しかしながら、SSRIの添付文書には小児を対象とした国内試験はないことや、海外試験においては有効性が確認できなかったとの注意書きがなされています。同様に妊婦や身体合併症を有する方への注意喚起もあります。それぞれの背景に対してどのような注意をしながら薬物療法を行うのか、まとめるワークショップを企画しました。