ご挨拶
総大会長挨拶
九州大学大学院医学研究院精神病態医学
中尾 智博
皆さま、このたび2024年7月19日(金)と20日(土)に九州大学医学部百年講堂で開催される第16回日本不安症学会学術大会・第24回日本認知療法・認知行動療法学会(JACT)合同開催の総大会長を務めることになりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。不安症学会は広島大学の岩永誠教授に、JACTは令和健康科学大学の白石裕子教授に、それぞれ大会長を務めて頂きます。
本学術大会のテーマは『「新時代」へのコンパス〜不安の受容と新しいリカバリーが描く未来〜』としました。2020年来、私たちは新型コロナウイルス感染症のパンデミックに苦しみながらもなんとか乗り越え、今新しい時代を迎えようとしています。パンデミックは確かに長く苦しい体験でしたが、私たちが新しい社会のあり方、人と人のつきあい方を考える上では貴重な体験になったと感じています。オンラインやAIを活かした診療も格段に発展を遂げました。さまざまな不安を感じつつもそれを理解し、受け入れ、新しい生き方を模索する取り組み、そしてそれを援助するための認知行動療法が提案する新しいリカバリーの取り組み、このようなムーブメントがきっと新しい時代を指し示すコンパスになってくれる、そういった思いでこのテーマを掲げました。
私自身、精神科医になって以来ずっと不安症・強迫症の臨床と研究、認知行動療法の実践を行ってきましたので、今回不安症学会とJACTの合同開催を福岡の地で開かせて頂けることに大変な喜びを感じております。開催時期は両学会の通常開催時期のちょうど中間を取って7月下旬としましたが、福岡・博多の7月は「山のぼせ」と言われ、博多祇園山笠のお祭りムード一色となります。山笠は7月15日の追い山でフィナーレを迎えますが、今大会はその山笠終了直後の週末で、まだ山笠の熱気が残る熱い博多を堪能できると思います。皆さまの多数のご参加をこころよりお待ち申し上げております。
第24回日本認知療法・認知行動療法学会大会長挨拶
令和健康科学大学看護学部看護学科精神看護学
白石 裕子
第16回日本不安症学会と第24回日本認知療法・認知行動療法学会の合同学会が2024年7月19日(金)~7月21日(日)に九州大学医学部百年講堂で開催されます。
対面での学会は久しぶりになると思いますが、コロナ禍であまり会うことができなかった先生方とも今回はお会いできることを楽しみにしています。
今回のテーマは「新時代」へのコンパス~不安の受容と新しいリカバリーが描く未来~です。パンデミック、戦争、災害、経済危機など様々な不安が渦巻く時代にあって、私たちはどのような自分軸で生きていくかの選択を迫られているように感じています。どのような時代にあっても自分を取り巻く世界や自分の内面を受容し、マインドフルに生きていくことが求められているのではないでしょうか?
A.ベック先生は86歳でRecovery oriented cognitive therapyを考案され、J.ベック先生は、これまでの問題指向のCBTからストレングスを基盤としたCBTを推進されています。日本でのワークショップの中で「クライエントのストレングスに着目したセラピーをすることで私は5年前よりとても良いセラピストになったわ!」と話されていたことがとても印象に残っています。
私は看護の研究者として、看護師が実践するCBTについて研究と実践をしてきましたが、近年はStrength-Based Nursing Careに着目した研究を進めており、Strength-based CBTとのシンクロに興奮を覚えています。
不安の多い時代に問題ではなくストレングスに注目し、それを活用していくことで、クライエントのリカバリーのプロセスに協働的に取り組むことが今後のCBTに期待されていることではないかと考えます。
本学会ではRecoveryやStrengthを主軸としたCBTの動向や方向性について様々な角度からDiscussionを深めていけたらと思います。
第16回日本不安症学会学術大会大会長挨拶
広島大学大学院人間社会科学研究科
岩永 誠
第16回日本不安症学会学術大会は,2024年7月19日(金)と20日(土)に九州大学医学部100年講堂で開催されます。21日(日)には現地およびWEB配信によるワークショップも開催いたします。九州大学での開催は2017年の第9回学術大会以来となります。第16回学術大会は,日本認知療法・認知行動療法学会(JACT)との合同開催で,九州大学大学院医学研究院教授の中尾智博先生を総大会長として,JACTの第24回大会長を令和健康科学大学看護学部教授の白石裕子先生が,日本不安症学会の大会長を広島大学の岩永が務めます。
本学術大会のテーマは『「新時代」へのコンパス〜不安の受容と新しいリカバリーが描く未来〜』です。21世紀になって20年以上が経過し,不安症関連の研究や脳科学も大きく進展してきました。また,COVID-19の世界的パンデミックを経験し,新しい社会体制や社会的価値観が求められるようになってきました。そのような中,私たちも新たな地平に立ち,これからの不安症研究と治療法の確立を見据えて新たな舵取りをする段階に来たのではないでしょうか。「新時代のコンパス」とは,不安症研究の新たな方向性を見出したいという思いから名付けました。
第16回学術大会はJACTとの合同開催ですので,互いのプログラムに自由に参加することができます。JACTでは,不安症をはじめさまざまな精神疾患に対する認知療法や認知行動療法に関する研究発表がなされますので,日本不安症学会の会員の方々も良い学びの機会になるものと思います。2つの学会・学会員の交流がさらに深まることを願っております。
学術大会で頭をフル回転させた後は,夜の博多でリフレッシュしていただきたいと思います。中洲は九州一の歓楽街で,名物の屋台もたくさん出ていますので,夏の夜風に吹かれながら,お酒をいただくのも一興かと思います。
大会準備委員会一同,皆様のお越しをお待ちしております。